運用改善とは? システム運用における課題と改善方法

  • 運用改善
2023.07.14
運用改善とは? システム運用における課題と改善方法

「自社のシステム運用改善はどう進めていくのが得策か」と悩みを抱えている情報システム部門の担当者は少なくありません。本記事では、システム運用改善の概念やメリット、実践に向けた大まかな流れを解説します。また、運用改善におすすめのITツールも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

システムの運用改善とは

システム運用では、サーバーやネットワークを安定的に稼働させ、最適化させることが重要です。ただし、導入後もシステムの形態は固定化されているわけではなく、業務上の要求などによって変化します。例えば、サーバーに大きな負荷がかかっている場合は軽減対策が必要であり、運用コストを常に見直し、無駄なコストは削減しなければなりません。

「システムの運用改善」は、システムが正常稼働していない場合や費用対効果が見合っていない場合などに、正常な状態へ戻す取り組みのことです。しかしインターネット・クラウドシステムが普及した今日、「システムの改善によってサービスの付加価値をいかに向上させることができるのか」という課題解決までが、システムの運用改善の目的となってきています。
つまり現在、システムの運用改善は「サービスの運用改善」に変わりつつあります。システムの運用改善がマイナスをゼロに戻し、維持する取り組みだとすれば、サービスの運用改善はゼロをプラスにする取り組みです。各社の類似サービスが市場にあふれている昨今、顧客をつなぎとめ自社が生き残っていくために、このシステム・サービスの運用改善は生命線となり得ます。

システム運用でよくある課題

企業のシステム運用といえば、従来は専門的な知識を持ったIT部門のエンジニアが担うことが常で、いわば人の手に頼らざるを得ませんでした。こうした運用体制では、属人化、管理の形骸化、運用の非効率化といった問題・課題が発生しがちです。

属人的な体制

サンクションIT

企業で運用されるシステムには、それぞれ担当エンジニアがアサインされることが一般的です。運用上の問題が発生しなければ、このような属人的な体制でも弊害が露呈することはありません。しかし、いったんシステム上の障害などが発生すると大きな問題につながってしまいます。

例えば、担当者の不在時に何か障害が起きてしまうと対処が遅れ、最悪の場合、システムで提供しているサービスそのものが止まってしまうことにもなりかねません。もし担当者がひとりしかいない場合は、ミスの発生に気づきにくかったり、運用業務が滞りがちだったり、業務のマニュアル化が疎かにされがちになったりする状況が慢性化しやすくもなります。もちろん担当エンジニアにかかる負担は大きく、長時間労働につながりやすいことは大きなデメリットです。

システム運用での属人的体制を防ぐには、テクノロジーや外部ツールを導入し、活用することも選択肢のひとつです。システムを可視化し、担当エンジニア以外のメンバーも、システムが現在どのような状況になっているのかを確認できるようになれば、属人化の弊害を回避できます。

管理の形骸化

システムの運用・管理の目的がもともと明確でなかったり、形骸化してしまったりしているケースもよく見られます。現在の状況や発生している課題を確認することなく、従来のやり方をそのまま踏襲するだけでは、システム運用やサービス運用を改善することはできません。

現場従業員や管理者が新しい技術を学ぶことなく、「これまではこの方法でやってきて、うまくいってきたから」と同じ方法に固執すると、結果的にレガシーシステムの放置につながります。また、そうした従業員の作業実態を不透明なままにするような管理を続けていれば、やがて大きなトラブルや危機を招くおそれもあります。

レガシーシステムの放置に関しては、経済産業省が2018年9月に公表した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開」で、レガシーシステムの放置によってDXが進まないだけではなく、甚大な経済損失さえ被るリスクがあると警鐘を鳴らしています。

参照元:経済産業省
「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_01.pdf

非効率な運用

企業内での業務が整理しきれておらず、システムの運用・管理業務が非効率になっているケースもよく見られます。例えば、システムの運用・管理には不必要な報告が行われていたり、共同で作業にあたっている複数のチームの役割分担がうまく機能せずに、業務の停滞を招いてしまったりすることがあります。

近年、IT業界では慢性的な人手不足が課題となっています。限られた人数で業務をこなす必要があるにもかかわらず、業務効率が悪ければ、各従業員の業務負担は増える一方です。システム運用は進めているものの、改善すべき点を慎重に検討する時間さえなかなか取れないことも、解決すべき現場の課題です。

システム運用改善のメリット

システム運用改善のメリット

システムが導入され運用が開始されたからといって、それで終わりではありません。システム自体に問題が潜んでいることがあり、さらに業務上の必要からシステムを修正・変更していくなかで新たに発生する課題もあります。こうした課題を洗い出し、改善していくことで、生産性の向上を図ることができます。

さらにシステムの運用改善によって、設備や機器の稼働率が向上し、結果的に運用コストの削減にもつながります。運用改善が業務の効率化につながることはいうまでもなく、設備・機器稼働率の向上とともに、生産性の向上に大きく寄与します。

システムの運用改善プロセス

近年はRPA(Robotic Process Automation)やRBA(Run Book Automation)といったシステム運用を自動化するツールに注目が集まっています。RPAは従来、人間のみが対応できると考えられていた作業をロボットに代替させる取り組みであり、RBAはまさにITの運用・管理を自動化する取り組みです。

しかしながら、すべての業務の自動化を目的としているわけではありません。RPAやRBAを活用しながら、人間が行うべき作業と自動化すべき作業との棲み分けを最適化し、生産性や業績の継続的な向上を図ることこそが目的です。現在は最適な棲み分け方を模索しつつ、システムの運用改善などで生産性・業績の向上を図っている状況です。

次に、システムの運用改善プロセスとして、業務の可視化、業務の整理、業務の自動化やアウトソースについて解説します。

業務の可視化

システムの運用改善をするにはまず、業務を可視化します。具体的には現在行っている業務を、日常的に行っている定常業務と、イレギュラーに行っている非定常業務とに分けて洗い出します。

定常業務は「誰が」「いつ」「何を」「どうするのか」を軸にピックアップします。この際に重要なことは、業務の役割分担を明確にしておくことです。あるシステムを複数の従業員で担当している場合には、各メンバーそれぞれの担当業務について、いつ行っているのかを確認します。
例えば、システム障害が発生した際に、どのような流れで障害対策を進めたのかをフローやスケジュールから詳細に確認することで、これまでは見えていなかった課題が見えてきたり、次のフェーズで課題を整理しやすくなったりします。

業務の整理

運用業務の可視化ができれば、次に洗い出されたそれぞれの業務が本当に必要なものなのかといったことをあらためて確認していきます。複数の従業員が重複して行っている業務があったり、前段階として必要な業務が抜けていて、業務の非効率化を招いていたりするかもしれません。
各業務の要・不要については担当者間で意見が相違し、必要に応じて議論が起きる場合もあります。しかし重要なことは「なぜ、業務の整理が必要なのか」という目的をすべての従業員が共有することです。従業員間で、業務の整理の目的は生産性や業績の向上であることを常に認識してもらいながら、整理や議論を進めていきます。

業務の自動化やアウトソース

運用業務の可視化および整理ができたら、次は運用改善を進めるための具体的な施策を検討します。例えば、RPAやRBAなどによる業務の自動化は検討すべき施策のひとつです。先述したように、自動化は人間の作業とうまく組み合わせて利用することが重要です。自動化の導入は、自社内での実施結果を確認しながら少しずつ進めていくことが推奨されます。
なお、システム運用のすべてを自社内のリソースで行う余裕がない企業も少なくありません。そうしたケースでは、必要に応じてアウトソーシングで対応することも選択肢のひとつです。

システムの運用改善を図るために自動化システムを導入するにしても、アウトソースで対応するにしても、当然新たなコストが発生します。したがって費用対効果を確認しながら、慎重に進めることが大切です。

システム運用のおすすめ改善方法2つ

システム運用のおすすめ改善方法2つ

システム運用の改善方法を検討しているのなら、運用監視ソリューションとIT運用管理プラットフォームの2つがおすすめです。

運用監視ソリューション

システム運用をアウトソーシングしたい場合におすすめできるのが、Y2Sの提供する運用監視ソリューションです。24時間365日、対象の運用システムを有人監視し、万が一異常を検知した際には、問題の切り分けや対応を迅速に実施します。

障害の発生時には、障害のレベルに応じて適切なエスカレーションも行います。障害発生時の復旧対応は、サービスの復旧維持を最優先にリモートで行い、必要に応じてオンサイトでも対応します。さらに、運用サービスに欠かせない、障害対応フローなどのドキュメント類を作成・管理することにより、属人的ではない運用監視サービスを提供しています。映像配信ネットワーク基盤運用業務や医療系ポータルサイト運用業務など、豊富な導入実績があります。

OpsRamp(オプスランプ)

近年、仮想化やハイブリッド構成、マルチクラウド化などで複雑さを増すシステムの運用・管理に最新技術のAI(人工知能)を投入するサービスも現れはじめました。SaaS型のIT運用管理プラットフォーム「OpsRamp」は一元管理とAIによって、複雑化したシステムの運用を改善し、効率化を実現しています。
単なるインフラ監視システムではなく、サイロ化されたIT運用管理ツールを統合し、柔軟に対応できることがメリットです。システムの異常に対しては、検出から監視、管理、解決までひとつの運用プラットフォームで対応を完結できます。

まとめ

システム運用には属人化、管理の形骸化、非効率化といったさまざまな課題があり、これらを解決し、運用の改善を図らなければ、業務の効率化や生産性・業績の向上を達成することはできません。システムの運用改善の際には、業務の可視化、業務の整理、業務の自動化やアウトソースを段階的にすすめていくことが重要です。

システム運用を改善する際には、技術面だけに注目するのではなく、ビジネスへどう貢献できるのかといった視点も忘れてはいけません。Y2Sの提供する運用監視ソリューションや「OpsRamp」は、システム運用の枠にとどまらず、業務効率化やコスト軽減など、幅広く役立つサービスです。現状のシステム運用に負担を感じている場合は、導入の検討をおすすめします。